ワッフル・ケーキの店 R.L

一級建築士事務所として始まった私たちのアトリエが、建築だけでなくインテリアや家具、食器、さらにはお皿の上の食べ物までもデザインしたいという思いからワッフルケーキ専門店を誕生させたのが1991年12月1日。
元々はヨーロッパのものであるワッフルを日本人の感性を持って発展させてきたエール・エル。
世界中から高い評価を受ける日本文化のようにエール・エルのワッフルもまた世界中のみなさまに親しまれる
「日本のワッフル」でありたいと考えています。

ワッフルケーキ

エール・エルのワッフルは、「日本のワッフル」です。
私たちは、ヨーロッパのワッフルをそのまま日本に広めるのではなく、日本人の感性で新たに創り出したワッフルを、日本から世界に発信することを目指しています。
看板商品であるワッフルケーキ。手のひらにすっぽり収まる大きさは、日本人の持つ「小さいものへの愛着」を表しています。

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R.Lの名前の由来

フランス語読みで「エール・エル」と発音する店名は
フランスのガラス工芸家ルネ・ラリックに由来しています。彼は素材や技法を工夫し、芸術性の高い香水瓶や食器などを高品質のまま量産し、低価格で提供することに成功しました。 その結果、彼の作品は人々の日常の中に広まったのです。高品質なものを低価格で提供することで、日常のものにしたい。
エール・エルのワッフルには、彼のものづくりの精神が受け継がれています。

店舗内装

ワッフルを囲む空間にも日本的なデザインや感性が活かされています。
店舗の壁面に用いられている墨色の杉板は、昔の日本家屋でよく用いられた黒塀を表現しています。
その墨色をより美しく見せるため、赤いロゴマークを置きました。

パッケージ

パッケージにも墨色を使用しています。
赤い袋から墨色の箱を取り出し、ふたを開くと、そこには小さなワッフルが彩りゆたかに並ぶエール・エルの世界をコンパクトに表現しています。
また、上品でシンプルな真っ黒のパッケージと真っ赤な手提げ袋は、遊び心のある大人を演出してくれます。

コラム

  • R.Lの名前の由来
  • 建築家がワッフル!?
  • 黒と赤
  • 通販のはじまり
  • コロコロワッフル誕生秘話

R.Lの名前の由来

店名「R.L(エール・エル)」は、ある人物の名前の頭文字をとって名付けられました。その人物とは、19世紀末から20世紀半ばにかけて活躍したフランスのガラス工芸作家Rene Lalique(ルネ・ラリック 1860-1945)です。
弊社社長 新保哲也は、初めてルネ・ラリックのガラス作品を見たときの感動が今でも忘れられないといいます。同時代に名を馳せたガラス工芸作家達の作品は多彩な色使いで複雑な装飾のものが多い中、ルネ・ラリックの作品は、洗練されていてとてもシンプルでした。暗闇の中に「ぽっ」と浮かぶガラスの光が言葉では表現できないほど美しかったのです。


〈ランピオン 1927年〉

また美しさもさることながら、ルネ・ラリックの物づくりの精神にも共感しました。彼の作品には、香水瓶や食器など日常的に使うものでありながら芸術品として優れたものが多数存在します。型を使用することである程度量産ができ、リーズナブルでありながらも高品質で高級感をもったものを創りだすことに成功したのです。その結果、人々の生活の中に作品は広まり、彼は日常生活と芸術を結び付けるという大きな功績を残しました。
実用性と芸術性を兼ね備え、そして日常のものを芸術の域まで高めた彼のものづくりの精神に共感するなかで、新保自身も「ワッフル」を高品質でありながら低価格なお菓子として日常生活に広めていきたいと考えました。 そんな思いから1号店には、「ルネ・ラリック」と名付けました。
しかし1号店オープンから3年後、東京・恵比寿に出店が決まったときに「ルネ・ラリック」から「エール・エル」に店名を変更することにしたのです。

当時出店のお話をたくさんいただけるようになり、その後の店舗数拡大が想定されるなかで、「ルネ・ラリック」という名前が「ガラス工芸作家」としてではなく「ワッフルのお店」として日本の人々に広まってしまうのではと懸念したからです。それでもワッフルが世の中に広まっていくことでルネ・ラリックの精神を広めていきたい、という思いは強かったことから、Rene Laliqueのイニシャル「R.L」を、ルネ・ラリックの生誕の地フランスにちなんでフランス語読みした「エール・エル」、これを新しいワッフルのお店の名前としたのです。

建築家がワッフル!? 創業秘話

「ワッフル・ケーキの店 R.L(エール・エル)」は、一級建築士事務所としてスタートしたちょっぴりユニークなお店。建築家である弊社社長 新保哲也が、なぜワッフルケーキ専門店をオープンするに至ったのか。そんな創業秘話をご紹介したいと思います。
新保が一級建築士事務所を開設したのが1989年。当時から、建築だけでなく家具や食器、さらにはお皿の上の食べ物も!あらゆるものをデザインしたいと考えていたため、社名は「新保哲也一級建築士事務所」とせず「アトリエ」という名前を用いて「新保哲也アトリエ」としました。

転機は1991年に訪れます。ビルのオーナーさんから事務所の隣の空きテナントの募集を任されたのですが、イメージに合う店がなく断り続けていたところ、しびれを切らしたオーナーさんに叱られてしまい…「それなら自分が行きたくなるようなお店を自分で創ろう」と考えました。何のお店をしようかと考え、その時思い浮かんだのが建築を学ぶために訪れたヨーロッパで出会った「ワッフル」だったのです。
『ワッフルって何?』
当時、日本ではワッフル自体あまり知られていませんでした。「ワッフルだけじゃなく他のケーキも置くべきだ!」と様々な人に言われました。しかし創りたかったのは「洋菓子屋さん」ではなく「あそこに行けばたくさんの種類のおいしいワッフルがある」と思ってもらえる世界にただひとつの「ワッフルケーキ専門店」だったのです。そのため、お店に置くケーキの種類は1種類「ワッフル」だけ。代わりに、ワッフルの味の種類を楽しめるよう20種類としました。

『2階にある店舗? みんな行かないよ』
洋菓子屋さんは外からショーケースが見える1階でないといけないとよく言われました。店舗は2階で、ショーケースのある空間を杉板で囲っていたため、外から見ると洋菓子屋さんというよりギャラリーのようでした。外からはワッフルが全く見えない、黒い箱に入ったようなお店だったのです。
1991年12月1日、いよいよオープンの日。
まわりの人からは異例と言われたお店でしたが、ドキドキしながらいざ開店するとそこには長蛇の列!10時にオープンして用意していたワッフルケーキが1時間で完売!その後も、商品を出せば完売、出せば完売、の連続でした。

こうして、エール・エルの1号店が誕生したのです。

黒と赤

エール・エルのコンセプトカラーは「黒と赤」です。「赤と黒」ではありません。
店舗の壁面に用いられている墨色の杉板は、昔の日本家屋で使われていた“黒塀”をイメージしています。ワッフルケーキ専門店がなぜ日本家屋の黒塀なのでしょうか。それは、エール・エルのワッフルがヨーロッパのワッフルそのままではなく日本人の感性で新たに創りだした「日本のワッフル」であり、それらを並べる空間にも日本的なデザインを取り入れたいと考えたからなのです。

はじめは真っ黒でもない絶妙な墨色を作り出すために大変な苦労がありました。杉板にペンキと炭を混ぜたものを塗っては布で拭き、また塗っては布で拭きを繰り返し、さらに、一枚一枚自分たちの手で行っていたのです。
店舗の内装だけでなく、ワッフルを入れる箱にも黒が使われています。現在では、洋菓子の箱に黒を使うことは珍しくないかもしれませんが、25年前は洋菓子と言えば白い箱が主流の時代。黒いパッケージは「お葬式みたいだ」と言って反対されたりもしました。その上、なかなか思い通りの黒にならず試行錯誤を繰り返すことに。20回ほど作り直しをする中で、ふと、紙の裏表を逆にして印刷してみてはどうだろう?とひらめいたのです。通常印刷する光沢のある面ではなく、裏のざらっとした面に印刷することで、マットな質感の理想的な黒をやっと実現することができました。

そうして苦労して作り上げた黒の上には、“赤い”ロゴを置いています。目を引く赤は、一見主役のようにも感じられますが、実は黒の良さを引き立てる役割をもっています。例えばみなさまもご存知「漆塗り」は、色づけする際によりきれいな黒を出すために、黒の上に赤を塗ってからまた黒を重ねるそうです。同じように赤いロゴがあることによって壁の墨色がより美しく見えるのです。
こうして日本人の感性や知恵を取り入れながら、エール・エルの「黒と赤」は完成しました。

通販のはじまり

「お取り寄せスイーツ」としてメディアに掲載いただくことも多いエール・エルのワッフル。今回は通販のはじまりについてご紹介したいと思います。

1991年12月1日に創業し、初日から長蛇の列をなす大反響だったエール・エルの1号店。すると雑誌社からも取材のオファーがいくつも舞い込んできました。その中のひとつ『家庭画報』(世界文化社)に、店舗の紹介とともに掲載されたのが「地方発送可」の一言。 その記事が予想以上の反響を呼び、お客さまからの注文の電話が鳴り止まなくなったのです!

取材の際に「地方発送はできますか」と尋ねられた新保が、なんとかなるだろうという軽い気持ちで「できますよー」と言ってしまったのが思わぬ事態を招いたのでした。しかしこうなった以上、どうにかお客さまに商品をお届けしなければなりません。梱包してはコンビニに持ちこむ方法で発送を始めましたが、あまりの数の多さに見かねた配送業者の方が「取りに行きますよ」と声をかけてくださるほどでした。こうして雑誌に掲載された一言がきっかけで、図らずもエール・エルの通販は始まったのです。

今のようにインターネットによる通販をスタートさせたのは創業10年目の頃でした。そして翌年2002年には、インターネットショッピングモール「楽天市場」にも出店しました。「楽天市場」には、人気投票や売り上げなどからその年のベストショップを選出する「ショップ・オブ・ザ・イヤー」という賞があります。全ショップが対象となる総合部門のほか、ジャンル別の表彰もあったのですが、当時そのジャンルに「スイーツ」は入っていませんでした。

しかし、エール・エルが予想以上に好評いただいたことから、2004年に「スイーツ・菓子・デザート」ジャンルが追加され、エール・エルが大賞を受賞したのです。そしてなんと翌年も同じく大賞を受賞し「ダブルイヤー賞」をいただくことができました。これが「お取り寄せスイーツ」としてたくさんの方に知っていただく大きなきっかけとなったのです。おいしいワッフルを日本中、そして世界中に広めるために、これからも通販はお客さまとエール・エルを繋ぐ重要な役割を担っていきます。

コロコロワッフル誕生秘話

エール・エルの主力商品のひとつに「コロコロワッフル」というクッキータイプのワッフルがあります。定番として親しまれている「プレーン」「メープル」「ストロベリー」「ショコラ」の4種類に加えて、期間限定・地域限定商品も数多く取り揃え、年間100万本を売り上げる人気商品となっています。

コロコロワッフルが生まれたのは10 年以上前のこと。その背景には「ワッフル専門店」としての原点回帰、再出発というキーワードがありました。その頃エール・エルではプチシュークリームの量り売りやプリンなども展開していました。かなり好評ではあったのですが、なぜワッフル専門店でシュークリームを売るのか?という疑問が生まれてきました。“専門店”であるなら、やはりワッフルにこだわり抜き、そのおいしさを伝えていくことが使命なのではないか。そう再認識した私たちは、シュークリームやプリンの販売を終了させ「新しいワッフルを開発しよう」と決めたのです。

それからは、今までにないワッフルを作るべく試行錯誤の日々が始まりました。当初は日持ちがして自由に量り売りができるベビーカステラのような食感のものをイメージしていました。しかしなかなかおいしいものができない。できたとしても日持ちしない。考えあぐねていた時、クッキー生地でワッフルができないか?というアイデアが生まれました。クッキー生地をひとくちサイズに焼き上げたさくさくワッフル。ひとつ食べだしたら止まらないおいしさ!それがコロコロワッフルだったのです。ちょっとした発想の転換から生まれた商品が、今やエール・エルになくてはならないワッフルのひとつとなっています。